翻訳者のブログ

著者雑感 ~音楽の不思議な力②~

かつてパリに一人旅をした時、
もともと病を抱えていたために
極度の疲労で、人事不省に
陥ったことがあった。

その時、私は、実際は
身体が冷え切っていたのに、
太陽が燦燦と輝くお花畑にいて、
光と温もりに包まれていた。

今、振り返ると、
倒れる前、ずっと
スティングの「フィールズオブゴールド」
を聴いていた。
詳しい歌詞は分からなかったが、
私の心には、美しい情景が浮かんでいた。

倒れた時の心地は、
その情景の中にいるようだった。
私なりのフィールズオブゴールドに。

あれは不思議な体験だった・・・
具合が悪かったのに、
あれほどの心地よさを感じるとは!

眠る時や、重い病の床にある人に
美しい音楽を聞かせることは
とても大切なことなのだと思った。

無意識の心に美しいメロディーを
届けることの大切さを
今しみじみと感じている。
(2021年7月12日 聖ヴェロニカの祝日)

(訳者)