それは 2年前の台風の日だった。
窓を閉め切っていたのに
どこからか
小さな白い蝶が入ってきた。
夕暮れ時を
ネコのナナが
その蝶と戯れていた。
その日は
ある方の命日だった。
ずっと その方のことを
考えていた。
ふとナナを見ると
もう遊んでいなかった。
どこにも 蝶の姿はなかった。
台風で 締め切った部屋に
その蝶は どこから来て、
どこに行ったのだろうか?
不思議な想いと
幸せを感じながら
台風の去るのを待っていた。
今も懐かしく思い出す
あの時の白い蝶。
不思議な幸せのしるし。
(2021年10月15日)
(訳者)