翻訳者のブログ

著者雑感 ~母の日記~

86歳の頃の母の日記が出てきた。
独り暮らしを心配し、私たち姉妹が
母を施設に入居させてからの日記だ。

老いの哀しみ、孤独の寂しさが綴られていた。
電話が自由にできずに辛かったこと、
(携帯を買ってあげることをしなかったことが悔やまれる)
お風呂で男性の介助が恥ずかしかったこと、
でも、女性の介助では、体力的に無理だと気づき、感謝したこと。

個室で自立を味わえることに感謝したこと。
寂しさの中でも、俳句を詠んでいたこと。
私たち姉妹の訪問を楽しみにしていたこと。

母が、どれほど、孤独を味わい、寂しく思い、
それでもなお、感謝に満ちていたかを
母の日記から、読み取ることができる。

わたしが母の年齢に達した時に、
母のように、謙虚に感謝していられるだろうか。
齢をとっても気づきと感謝の毎日だった母。
亡くなってからも、気づきを与えてくれる母。
母の存在の大きさを思う。
(2021年12月31日)

(訳者)