翻訳者のブログ

著者雑感 ~豊穣の影②~

「豊穣の影」
という言葉を
つぶやいた時

どういうわけか
カミユの「ペスト」
を思い出した。
最後の場面だ。

死の床で
タル―がリウー夫人を
みつめる場面である。

それは
かぎりなく優しく
懐かしい視線であった。

影にしか見られない
優しさ、懐かしさを
カミユは描いていた。
(2022年5月25日)