昔、毎日母を見舞っていた頃
出勤して、帰宅は夜の九時ごろだった。
ナナは毎日お留守番をしてくれて、
わたしの入浴時は、
浴槽の蓋の上に座って
歌を歌ってくれるのだった。
巻き舌で、ビブラートを
効かせて、美しい声で歌うのだ。
それは、とても不思議な声だった。
その頃、わたしは忙しくて
深くナナの心を思い巡らす
暇はなかった。
今、ナナが歌うことはない。
きっと、毎日家にいるわたしに
安心しているのだろう。
ナナは歌わなくてもよくなって、
その代わりに、わたしの足もとで
寛いでくれる。
ナナとの至福のひととき、
いつまでも続きますように。。。
(2022年6月18日 ナナの誕生日に)