翻訳者のブログ

著者雑感 ~生者の傲り~

私たち生きている者は、
旅立った人たちの
いったい何を知っているのだろう?

生前の彼らの苦しみを喜びを
いったいどこまで
知っているのだろう?

知っていると思うなら
それは生者の傲りだ。
いや、後悔ではあるまいか
知りえなかったことへの、
知ろうとしなかったことへの。

同じ後悔は繰り返すまい
そう心に誓ったはずだった。
母を見送ったときに。

でも、時間が経つと
忘れてしまう。
老いと共に、時間と共に。

忘れられることを許容すること、
それが、老いる者の務めかもしれない。
自らもゆるしてもらうために。。。
(2022年8月18日)