翻訳者のブログ

著者雑感 ~アンジェラス・シレジウス~

アンジェラス・シレジウス
フランシスコ会、神秘家にして詩人
(1624-1677)

ヨハン・シェフラー(彼の旧姓)はシレジアの首都ブレスローでプロテスタントの両親のもとに生まれました。薬学博士号を取得したのち、熱心なルーテル教徒シルヴィウス・ニムロッド伯爵の宮廷医として働きました。やがて、ルーテル派の教義の公開審問で、彼の顕著になって行く神秘的な傾向が疑惑をもって受け止められました。1653年に、職を辞し、カトリックに転向して、アンジェラス・シレジウスと名乗りました。フランシスコ会に入会してから、司祭に叙階されました。
シレジウスは、「魂の霊的喜び」と「熾天使的巡礼者」の2巻の神秘的な詩集で良く知られています。彼の詩のほとんどは、警句的なリズムのカプレットになっていて、その多くは、後にカトリックとプロテスタントの聖歌(賛美歌)作者によって翻案されています。シレジウスは神と被造物、神と魂の関係に心を奪われていました:

パンは無数のトウキビの実を宿し
海は無数の水滴を宿す:
神の一体性の豊かさもしかり
その大いなる豊かさとは我ら。

すべてのものに神の存在を感じ取る彼の能力を、汎神論だとして非難する人もいました。けれども、彼が礼拝したのは自然界ではありません。そうではなくて、彼はすべての被造物に神の愛とエネルギーが溢れんばかりに注がれているのを見て、その同じエネルギーと愛が、万物を神との最終的な再結合へと導くことを信じたのでした。

すべては唯一のお方から生まれ、
すべては一つに戻る宿命:
さもなければ、すべては
ばらばらに分裂した数多。

シレジウスは1677年7月9日に亡くなりました。

天国の栄光はすべて内に在り、地獄の炎もまた然り。自分がどちらの方向に行くのかは自分で決めねばならぬ。
―アンジェラス・シレジウス

(ロバート・エルズバーグの「フランシスカン聖人伝」より)